[学習フェーズ]
Linux の操作は、すべて「コマンド」と呼ばれる短い英語の命令で行います。
このコマンドは、基本的な構造が共通しており、いくつかのルールやパターンを覚えることで、初めての人でもすぐに応用が効くようになります。
本カリキュラムでは、以下の3つを重点的に学びます。
- コマンドの基本的な「形」
- オプションの意味と使い方
- 順序や対象の指定方法
1. コマンドの基本構文
Linux コマンドは、次のような形で構成されることが多いです。
コマンド [オプション] [対象]
例1: ファイルの中身を見る
cat memo.txt
→ cat
はファイルの中身を表示するコマンドです。catにmemo.txt
というファイルを対象として与えています。
例2: ファイルをコピーする
cp a.txt b.txt
→ cp
はコピーのコマンド。a.txt
から b.txt
へコピーします。
順序が逆だと意味が変わるので注意が必要です。
2. オプションの使い方
コマンドには「オプション」と呼ばれる追加の命令をつけることができます。
オプションは、-
(ハイフン)から始まる短い文字列です。
オプションを使うことで、詳細表示やファイルの指定、パーミッションの指定、表示形式の変更など様々なことが可能となります。
例:ファイル一覧を見やすく表示
ls -l
コマンド | 意味 |
---|---|
ls | ファイル一覧を見る |
-l | 詳細に表示する(long形式) |
複数のオプションを組み合わせる
ls -lh
-l
: 詳細表示-h
: サイズを人間にわかりやすく(KB、MB)
-l
と -h
の順番は入れ替えて -hl
としても大丈夫です。
3. 順序が大事なコマンド
いくつかのコマンドでは、対象(ファイルなど)の順序が重要になります。
例:cp
(コピー)
cp 原本ファイル コピー先ファイル
cp data.txt backup.txt
→ data.txt
を backup.txt
という名前でコピーします。
これを逆にすると、backup.txt
を上書きすることになります。
上記ミスをした場合、data.txtの最新データが消失してしまうため注意しましょう。実務でも初心者がやりがちなミスです。
4. パイプとリダイレクトの基本
Linux では、「あるコマンドの出力を別のコマンドに渡す」ことができます。
パイプ |
を使った例
cat data.txt | grep "2025"
→ data.txt
の中で「2025」を含む行だけを表示。
数百行とあるデータから該当の部分だけ表示させたい場合に利用します。
リダイレクト >
を使った例
ls -l > list.txt
→ ls -l
の結果を list.txt
に書き出す
この場合、ls -lの結果をテキストファイルに保存することができます。
5. コマンド体系の考え方(重要)
最後に、コマンド体系の共通する考え方をまとめます。
基本の型はこう考えよう:
- 主語(=コマンド):やりたいこと
- 補足(=オプション):どのように?
- 目的(=対象):何に対して?
grep -n "word" document.txt
- やりたいこと:検索(grep)
- どのように?:行番号をつけて(-n)
- 何を?:「word」という文字列を
document.txt
で
コマンドは全て覚えてる?
プロのエンジニアでも、基本的なコマンド(cat、cp、ls、pwd、vi)などは覚えていますが、利用頻度の少ないコマンドは覚えていません。
覚え方も、能動的に覚えるというよりかは、実務をしているうちに自然に覚えていくという感覚です。
また、危険コマンド(shutdownやサービスの停止が伴うコマンド)は、手順書やマニュアルを使って実施します。
変に覚えてしまって、「暗記しているから」と手順書を無視してコマンドを投入するパターンがかえって危険な場合があります。
オプションは全て覚えてる?
プロのエンジニアでも、ほとんど覚えていません。
よく使うコマンドオプションは自然と覚えていきますが、基本的に知らないオプションばかりです。
ただ、経験上 -h や -r と来た場合、「こんな感じの機能かな?」と予測はできます。
オプションのアルファベットは英語の短縮系である場合が多く、 -h は halt や hour などが多いので、それであらかた予想がつきます。
業務でどのくらい使う?
業種にもよりますが、サーバーを扱うエンジニアの場合はほぼ毎日使います。
最初は辛いですが、徐々に手癖のようにコマンドが打てるようになるので、日々鍛錬しましょう。