kintoneのアプリが増えすぎた…「アプリ断捨離」の進め方と、削除して良いかを見極める4つの判断軸

2026年8月30日
kintone
kintoneアプリ断捨離・棚卸しのイメージ
APPCOUNTの「アプリ棚卸し台帳」ダッシュボード画面

kintoneを導入して数年。現場主導で業務改善が進んだ結果、こんな状態になっていないでしょうか。

「アプリ一覧をスクロールしても、何のアプリか分からないものが並んでいる」

「作った担当者はもう異動していて、今も使われているのか誰も分からない」

「アプリ数の上限が近づいてきたが、どれを消していいか判断できない」

kintoneの「現場が自分でアプリを作れる」という最大の強みは、裏を返せばアプリが増え続ける仕組みでもあります。そしてほとんどの組織で、増やすルールはあっても、減らすルールはありません。

本記事では、このkintoneアプリの断捨離(棚卸し)をテーマに、放置が生むコスト、削除して良いかを見極める判断軸、そして安全に進めるための手順を整理します。

なぜkintoneのアプリは増え続けるのか

減らない理由は、担当者の怠慢ではありません。構造的な理由があります。

  • 作るのが簡単で、消すのが怖い — アプリの作成は数クリックですが、削除は「もし誰かが使っていたら」というリスクを伴います。判断コストが非対称です。
  • 持ち主が消える — 作成者の異動・退職により、そのアプリの目的を説明できる人がいなくなります。残ったアプリは「触れてはいけないもの」になります。
  • 試作とコピーが残る — 「テスト用」「〇〇_旧」「コピー」といったアプリは、本番稼働後も消されないまま蓄積します。
  • 判断材料がない — 「このアプリ、最後に開かれたのはいつか」を調べる手段が手元にないため、判断そのものが始められません。

結果として、誰も使っていないが、誰も消せないアプリが積み上がっていきます。

放置されたアプリが生む、3つのコスト

「使っていないだけなら害はない」と思われがちですが、実際には3種類のコストが発生しています。

1. アプリ数上限の圧迫と、コース変更のコスト

kintoneには契約コースごとにアプリ数の上限があります。

コースアプリ数上限スペース数上限月額(1ユーザー・税抜)
ライトコース2001001,000円
スタンダードコース1,0005001,800円
ワイドコース3,0001,0003,000円

※2024年7月の価格体系改定時点。ライト・スタンダードは最低10ユーザーから、ワイドは1,000ユーザー以上が対象です。上限は個別相談で引き上げられる場合もあります。

問題は、上限に達したときの選択肢が「上位コースへの変更」になりがちなことです。たとえば100ユーザーでライトコースからスタンダードコースへ移ると、差額は1ユーザーあたり月額800円。月8万円、年間96万円の増額です。

その原因が「使われていないアプリが上限を埋めていること」だとしたら、本来は払わなくてよい費用ということになります。

2. 有料プラグイン・連携サービスの月額

有料プラグインや外部連携サービスの多くは、利用アプリ数やレコード数に応じた課金です。休眠アプリに有効なままのプラグインが残っていれば、その分だけ毎月支払いが続きます。

しかもこの支払いは、アプリを開いていなくても発生し続ける性質のものです。誰も見ていないので、誰も気づきません。

3. ガバナンス・セキュリティのリスク

もっとも見落とされやすいのがこれです。休眠アプリにも、当時の顧客情報や従業員情報がそのまま残っています。

  • アクセス権の棚卸し対象から漏れ、退職者や異動者の権限が残ったままになる
  • 個人情報の保管期限を超えたデータが放置される
  • 監査で「このアプリは何のためのものか」を説明できない

使っていないアプリは、リスクだけが残っている状態と考えるべきです。

アプリ断捨離を安全に進める4ステップ

STEP1:現状のアプリ数と上限を把握する

まず全体像を数字で押さえます。kintoneの設定アイコンから「アプリ管理」を開き、「ライセンスの使用状況」で「使用中」と「上限」を確認します。cybozu.com共通管理者であれば、「cybozu.com共通管理」→「契約状況」の「アプリ数」からも確認できます。

「上限1,000に対して使用中740」といった数字が出れば、断捨離が急務かどうかの温度感が共有できます。

STEP2:判断材料をそろえる(ここが本題)

断捨離の成否は、どんな材料で判断するかでほぼ決まります。おすすめは次の4つの軸です。

判断軸何が分かるか
累計アクセス数そのアプリが業務でどれだけ開かれてきたか
最終アクセス日時直近で人が触っているかどうか
最新レコード更新日人が開いていなくてもデータが動いているか
アプリ設定最終更新日管理者がメンテナンスを続けているか

アクセス数「だけ」で切ると事故が起きます

もっとも重要な注意点です。アクセス数がゼロに近くても、削除してはいけないアプリがあります。

代表例が、API連携やWebhookでデータを受け取るだけの中継用アプリ、集計元となるマスタアプリ、他アプリからルックアップで参照されているアプリです。これらは人が画面を開かないため、アクセスログ上は「休眠アプリ」に見えます。しかし削除すれば連携が壊れます。

4つの軸を組み合わせると、この事故を防げます。

アクセスレコード更新想定される状態対応
多いあり現役の業務アプリ維持
少ない・なしあり裏で動く連携・中継アプリの可能性削除しない。担当者にヒアリング
ありなし参照専用のマスタ・過去台帳維持、または統合を検討
なしなし休眠アプリ断捨離の第一候補

STEP3:候補にコストを紐づける

断捨離を社内で通すには、「消してスッキリします」ではなく「年間いくら削減できます」という説明が必要です。

休眠アプリの候補リストができたら、それぞれに紐づく有料プラグインや連携サービスの月額を書き添えてください。合計額が出た瞬間に、この作業は「片付け」から「コスト削減施策」に変わります。稟議も通りやすくなります。

STEP4:いきなり削除せず、3段階で進める

削除は取り返しがつきません。次の順序を推奨します。

1. 見えなくする — アクセス権を管理者のみに絞る、ポータルやスペースの一覧から外す
2. 様子を見る — 一定期間(決算期や年次業務をまたぐなら1年程度)、問い合わせが出ないことを確認する
3. バックアップして削除 — レコードをCSVで書き出し、添付ファイルも保全したうえで削除する

「1」の段階で問い合わせが来たアプリは、現役だったということです。この期間が保険になります。

いちばんの壁は、STEP2の「材料集め」

ここまで読んで、多くの方が引っかかるのがSTEP2ではないでしょうか。

kintone標準では、アプリ単位の利用状況を一覧で俯瞰する画面がありません。cybozu.com共通管理の監査ログで操作履歴を追うことはできますが、「アプリごとの累計アクセス数」「最終アクセス日時」がポートフォリオとして一画面に整理された形にはなっていません。

かといって、300個のアプリを一つずつ開いて更新日を確認していく——これは現実的な作業量ではありませんし、次の棚卸しのたびに同じ苦行を繰り返すことになります。

棚卸し台帳を、kintone上に常設するという解決策

APPCOUNTの「アプリ棚卸し台帳」ダッシュボード画面

この「材料集め」を自動化するために開発したのが、kintone拡張プラグイン「APPCOUNT」です。

導入すると、kintone上に「アプリ棚卸し台帳」というダッシュボードが常設されます。画面上部には、対象アプリ数・アクセス記録ありのアプリ数・費用設定済みの件数・月額費用合計がサマリとして並び、その下に一覧表が表示されます。

一覧表の列は、STEP2で挙げた判断軸とそのまま対応しています。

内容
アプリID/アプリ名対象アプリの特定
累計アクセス数開かれた回数の実績
最終アクセス日時直近で人が触った日時
最新レコード更新日データが動いているかどうか
アプリ設定最終更新日管理者のメンテナンス状況
月額費用各アプリに紐づく費用(手入力)

「削除しても良いか」の判断が、1画面で完結する

前述の「アクセスは少ないがレコード更新は続いている」という危険なパターンも、同じ行の中で並べて確認できます。ソートすれば、休眠アプリの候補を上から順に拾い出せます。

コスト削減額を、そのまま稟議資料にできる

月額費用の列は手入力できるようになっており、入力すると上部の「月額費用合計」に反映されます。休眠アプリの費用を積み上げれば、STEP3の削減見込み額がその場で算出されます。会議で同じ画面を見ながら「どれから手を付けるか」を決められる状態になります。

導入と料金

導入は、プラグイン(ZIP)をkintoneシステム管理から読み込み、APPCOUNT用のアプリを作成してセットアップ。あわせて同梱の集計用JavaScriptを「JavaScript / CSSでカスタマイズ」に登録すれば完了です。手順はAPPCOUNTマニュアルに画面イメージ付きで公開しています。

料金は1テナントあたり9,800円(税抜)の買い切りです。月額費用はかからず、ユーザー数が増えても追加料金は発生しません。外部サーバーとの通信を行わないため、アプリの利用状況データが社外に出ることもありません。

休眠アプリを1つ整理して有料プラグインを1契約解約できれば、多くの場合それだけで元が取れる価格設定にしています。

まとめ

kintoneのアプリが増え続けるのは、運用の失敗ではなく、現場主導で改善が回っている証拠でもあります。問題は、増やす仕組みに対して減らす仕組みが用意されていないことです。

断捨離を進めるときのポイントは3つです。

1. アクセス数だけで判断せず、レコード更新日・設定更新日と組み合わせる(連携アプリの誤削除を防ぐ)
2. 候補にはコストを紐づける(「片付け」ではなく「コスト削減施策」として通す)
3. いきなり削除せず、隠して様子を見る期間を挟む

そして、この判断材料を毎回手作業でそろえるのをやめることが、棚卸しを「一度きりのイベント」から「定期的に回せる運用」に変える近道です。

なお、kintoneの運用改善では、通知を飛ばさない個人メモを追加するMYMEMOや、Webhook連携の失敗を検知・再送するSureHookもご用意しています。あわせてご覧ください。

「APPCOUNT」は、kintone上に「アプリ棚卸し台帳」を常設し、アクセス実績・レコード更新日・月額費用を1画面に集約するプラグインです。買い切り9,800円(税抜)、外部サーバーとの通信は行いません。

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